2024/07/26(金)
財産分与請求権の時効はあるのか?離婚時の財産分与の注意点もご紹介!
離婚時に必要な意思決定の一つに、財産分与が挙げられます。
財産分与を検討している方の中には、財産分与の時効について知りたい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、財産分与請求権とは何か、また財産分与請求権の時効について、離婚後の財産分与における注意点についてご紹介します。
財産分与請求権とは
離婚時に決定する金銭問題の一つに、財産分与請求権があります。
財産分与請求権とは、婚姻期間中に夫婦が共同で築いた財産を精算するための権利を指します。
この権利により、離婚後も夫婦が協力して形成した財産を適切に分配することが求められます。
婚姻期間中、夫婦は共同生活を維持しながら財産を形成します。
離婚する際には、この共同で形成された財産を精算する必要があります。
これを財産分与といい、協議離婚の場合には夫婦間の話し合いで分与内容を決定します。
話し合いで合意に至らない場合、家庭裁判所で財産分与請求調停が行われ、調停でも合意が得られない場合は、財産分与請求審判で決定されます。
調停離婚や裁判離婚の場合、離婚と同時に財産分与についても法的手続きで決められるため、離婚後に再度話し合う必要はありません。
財産分与請求権の時効について
財産分与は離婚後も請求可能ですが、無制限に請求できるわけではありません。
財産分与には明確な期限が定められています。
1: 財産分与の期限は離婚後2年以内
財産分与の請求期限は、離婚が成立してから2年以内です。
離婚から2年を過ぎると、原則として財産分与を請求することはできません。
離婚時に財産分与についての取り決めをしていない場合は、この2年という期限を意識して請求を行う必要があります。
2: 財産分与の期限は「時効」ではなく「除斥期間」
財産分与の2年という期限は「除斥期間」であり、「時効」ではないことに注意が必要です。
時効とは、期間が経過しても自動的に権利が消滅するわけではなく、義務者側が援用(「時効が経過したため、もう支払いません」と主張)することで初めて成立します。
一方、除斥期間とは、援用の必要はなく、期間が経過すると自動的に権利が消滅します。
つまり、2年を過ぎた時点で相手が何も主張しなくても財産分与の権利は消滅します。
3: 離婚後2年の期限経過後も例外的に財産分与が認められるケース
以下の場合には、離婚後2年が経過しても例外的に財産分与が認められることがあります。
・相手が任意に支払うケース
期間が過ぎても、双方が合意の上で財産分与を行うことは可能です。
ただし、法的な権利は消滅しているため、税務上は財産分与と認められず、贈与税などが課税される可能性があります。
・相手が財産隠しをしていたケース
相手が財産分与の対象となる財産を隠していた場合は、2年経過後でも請求が可能です。
ただし、この場合は財産分与としてではなく、不法行為に基づく損害賠償などとして請求することになります。
例えば、相手の「財産は一切ない」という言葉を信じて離婚した後、隠し財産が発覚した場合が該当します。
このような状況に備えるためにも、財産分与請求を行う際は慎重に対応することが重要です。
離婚後の財産分与における注意点
1: 対象財産を把握する
離婚前であれば、郵便物や自宅に保管されている書類から比較的容易に共有財産を把握できます。
しかし、離婚後は別居により生活が分かれるため、財産の把握が難しくなります。
元配偶者が任意での財産開示に応じない場合や、開示された内容に疑問がある場合は、弁護士会照会制度や裁判所の調査嘱託を利用して相手方の財産情報を取得することが検討しましょう。
2: 財産の価値を適切に評価する
財産分与では対象財産の価値を適切に評価することが重要です。
特に離婚後は、対象財産が手元にないケースも考えられます。
相手が申告してきた額が適正かどうか判断がつかない場合、話し合いが難航する恐れがあります。
例えば、不動産の場合、お互いが納得した専門業者に査定を依頼するなどして、双方の認識を一致させることが必要です。
3: 手続きを早急に進める
財産分与の請求には期限が定められています。
離婚後に財産分与を請求する場合は、手続きを迅速に進める必要があります。
話し合いが進まない場合には、早期に調停を申し立てることが望ましいです。
離婚後に金銭的に困窮した際に請求しようと考えていても、実際に請求しようとした時点で請求権が消滅している可能性があります。
そのため、早めの対応が重要です。
まとめ
離婚時に決定する金銭問題の一つに、財産分与請求権があります。
財産分与請求権とは、婚姻期間中に夫婦が共同で築いた財産を精算するための権利を指します。
ただし、2年を過ぎた時点で相手が何も主張しなくても財産分与の権利は消滅します。
そのため、離婚後に財産分与を請求する場合は、手続きを迅速に進める必要があります。
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